最重要栄養素タンパク質とは?効果的な摂り方も解説

みんさんは3大栄養素をご存じでしょうか?
糖質、脂質、タンパク質の3つの栄養素です。
今回はこの3大栄養素の中でも、とても重要な役割を持つタンパク質について詳しく解説していきます。
是非最後までご覧ください。

タンパク質の重要性と選び方
筋肉といえばトレーニングであり、トレーニングを行う上で重要となるのが栄養摂取です。その栄養の中でも特に重要な役割を果たすのが、筋肉の材料となるタンパク質、いわゆるプロテインです。筋肉の成長や維持にはタンパク質が不可欠であり、適切に摂取することでトレーニングの効果を最大限に引き出すことができます。しかし、タンパク質だからといって闇雲に摂取すれば良いわけではなく、その種類や吸収の特性を理解し、自分の身体や目的に適したものを選ぶことが、より効率的な栄養補給につながります。
そもそも「Protein(プロテイン)」という言葉の語源は、ギリシャ語の「proteios(プロテイオス)」に由来し、これは「一番大切なもの」という意味を持っています。この語源からもわかるように、タンパク質は人間の生命維持において極めて重要な栄養素の一つです。私たちの身体の細胞や組織、ホルモン、酵素などはすべてタンパク質を基に構成されており、筋肉だけでなく、皮膚、髪、内臓など身体のあらゆる部分に関わっています。そのため、健康を維持し、身体の機能を適切に保つためにも、日常的に良質なタンパク質を摂取することが求められます。
タンパク質は大きく分けて「動物性タンパク質」と「植物性タンパク質」に分類されます。動物性タンパク質は、肉、魚、卵、乳製品などに多く含まれ、必須アミノ酸をバランスよく含んでいることが特徴です。一方、植物性タンパク質は、大豆、ナッツ、穀類などから摂取でき、食物繊維やビタミン、ミネラルも豊富に含まれています。植物性タンパク質は動物性タンパク質と比較すると、一部の必須アミノ酸が不足しがちですが、複数の植物性食品を組み合わせることでバランスよく摂取することが可能です。
これらのタンパク質をどのように摂取するかによって、食事の栄養バランスやカロリー摂取量が大きく変わってきます。例えば、鶏むね肉や白身魚などを調理することで高タンパク低カロリーの食事を作ることができますが、豚バラ肉や霜降り肉などを頻繁に摂取すると、タンパク質とともに脂質の摂取量も増え、結果として総カロリーが高くなってしまうことがあります。そのため、食材の選び方や調理方法を工夫することが、理想的な栄養バランスを整えるうえで重要なポイントとなります。
最近では、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどで「タンパク質○○g」「糖質オフ」「脂質ゼロ」といった表記のある商品を多く見かけるようになりました。こうした商品は、忙しい現代人でも手軽にタンパク質を摂取できるように設計されており、食事管理をする上で便利な選択肢の一つとなっています。特に、筋力トレーニング、やダイエットをしている人にとっては、こうした高タンパク低カロリーの商品を上手に活用することで、効率的に必要な栄養を補給することができます。
また、タンパク質を手軽に補給できる方法として、プロテインパウダーなどを取り入れることも有効です。プロテインパウダーは、摂取のタイミングや目的に応じて「ホエイプロテイン」「カゼインプロテイン」「ソイプロテイン」などを使い分けることができるため、自分のライフスタイルやトレーニング内容に合った選択が可能です。
このように、タンパク質は単に摂取すれば良いというものではなく、種類、摂取方法、調理方法などを工夫することで、より効果的に身体づくりや健康維持に役立てることができます。食事からの摂取とプロテインパウダーなどを適切に組み合わせ、自分の目標やライフスタイルに合ったタンパク質の摂取方法を選んでいくことが重要です。
動物性プロテイン
動物性プロテインは、主に「ホエイ(Whey)」と「カゼイン(Casein)」の2種類に分類されます。これらのプロテインは、それぞれ吸収速度や栄養価が異なり、目的やライフスタイルに応じて使い分けることで、より効率的にタンパク質を補給することが可能になります。
ホエイプロテイン
ホエイプロテインは、牛乳から脂肪分やカゼインを除去した際に得られる「乳清(にゅうせい)」を原料としたプロテインです。ヨーグルトの上澄みに溜まる液体を見たことがあるかもしれませんが、これがホエイにあたります。ホエイプロテインは、吸収が速く、消化性に優れているため、筋力トレーニング後のタンパク質補給に適しています。
牛乳のタンパク質のうち、約80%がカゼイン、約20%がホエイとされており、ホエイは比較的少量しか得られないため、貴重なタンパク質といえます。ホエイには、筋肉の成長に必要な必須アミノ酸が豊富に含まれており、とくに「ロイシン」と呼ばれるアミノ酸の含有量が高いことが特徴です。ロイシンは筋タンパク質の合成を促進し、トレーニング後のリカバリーや筋肉の成長に重要な役割を果たします。
ホエイプロテインは、製法の違いによって以下の3種類に分類されます。
① WPC(ホエイプロテイン・コンセントレート)
WPCは、最も基本的なホエイプロテインであり、加工工程が少ないため、ビタミンやミネラルをできるだけ多く残すことができる製法で作られています。そのため、タンパク質だけでなく、糖質や脂質、乳糖などの成分もある程度含まれています。
この製法のメリットは、比較的コストが低く、広く流通しているため入手しやすい点です。また、タンパク質以外の栄養素も同時に摂取できるため、バランスの取れた栄養補給が可能になります。ただし、吸収スピードや吸収効率は他の製法に比べるとやや劣るため、トレーニング直後にできるだけ素早くタンパク質を補給したい場合には、WPIやWPHのほうが適しています。
また、WPCは乳糖を含むため、「乳糖不耐症」の人にとっては、消化不良を引き起こす可能性があります。そのため、乳糖の影響を受けやすい人は、WPCよりも乳糖がほとんど除去されているWPIを選ぶのが良いでしょう。
② WPI(ホエイプロテイン・アイソレート)
WPIは、WPCをさらにろ過し、不純物を取り除いて精製されたホエイプロテインです。糖質や脂質、乳糖などを除去しているため、タンパク質含有量が高く、吸収も早いのが特徴です。
WPIはWPCよりも吸収スピードが速いため、トレーニング直後のタンパク質補給に最適です。また、乳糖がほとんど含まれていないため、乳製品を摂るとお腹を下しやすい人にも適しています。ただし、精製工程が増える分、価格はWPCよりも高めになります。
③ WPH(ホエイプロテイン・ハイドロリゼート)
WPHは、WPIをさらに分解し、タンパク質をペプチド(アミノ酸が数個つながった状態)にまで分解したものです。タンパク質がアミノ酸の状態に近い形になっているため、吸収スピードが最も速く、消化も良いのが特徴です。
WPHは、トレーニング後の素早い栄養補給に適していますが、製造コストが高いため、価格も高めに設定されています。また、WPCやWPIに比べると市場に出回る量が少なく、一般のプロテイン販売店ではあまり見かけません。競技レベルのアスリートや、より効率的な栄養補給を求める人に向いています。
カゼインプロテイン
カゼインプロテインは牛乳に含まれる主要なタンパク質であり、全体の約80%を占めています。カゼインプロテインは水に溶けにくく、胃の中で凝固する性質を持っているため、消化・吸収が非常にゆっくりと進むのが特徴です。
市販されているプロテインパウダーの多くはホエイプロテインが主成分となっており、粉末タイプのプロテインを利用している人の中には、カゼインプロテインの存在をあまり知らない人も多いかもしれません。しかし、実際には、ホエイとカゼインをブレンドしたプロテインも流通しており、それぞれの特性を活かすために両方を組み合わせて摂取するケースも少なくありません。ただし、カゼイン単体のプロテインパウダーは流通量が少なく、単独で摂取するよりも、他のプロテインと組み合わせる形で摂取することが一般的です。
カゼインの最も大きな特徴は、その吸収速度の遅さにあります。ホエイプロテインは摂取後約2時間ほどで消化・吸収されるのに対し、カゼインプロテインは約7〜8時間かけて徐々に体内に取り込まれます。これは、カゼインが胃の中でゲル状に固まり、消化酵素による分解が遅くなるためです。この特性により、カゼインプロテインを摂取すると、血中アミノ酸濃度が長時間にわたって維持され、持続的に筋肉に必要な栄養が供給されるというメリットがあります。特に、筋肉の成長にはタンパク質の供給が重要ですが、体内に長く留まりやすいカゼインを摂取することで、筋肉の分解を抑える効果が期待できます。
一般的に、筋力トレーニング後はできるだけ早くアミノ酸を補給することで筋肉の合成を促進することが重要とされるため、即効性のあるホエイプロテインが好まれます。しかし、カゼインプロテインの「ゆっくりと吸収される」という特性は、異なる目的において非常に有効です。例えば、睡眠中は食事を摂ることができず、長時間栄養補給が途切れるため、就寝前にカゼインプロテインを摂取することで、夜間のカタボリック(筋肉の分解)を防ぎ、筋肉の修復・成長を促すことができます。
また、日中の間食としてカゼインプロテインを活用することも有効です。特に、次の食事までの時間が長く空いてしまう場合、カゼインプロテインを摂取することで腹持ちを良くし、持続的にアミノ酸を供給することができます。これは、ダイエット中の人にとってもメリットがあり、空腹感を抑えながら筋肉量を維持するのに役立ちます。カゼインは消化に時間がかかるため、食欲をコントロールしやすく、減量期の栄養管理にも適しています。
植物性プロテイン
ソイプロテイン
ソイプロテインは、大豆を原料として作られる植物性プロテインであり、動物性プロテインであるホエイプロテインやカゼインプロテインとは異なる特性を持っています。その最大の特徴の一つは、消化・吸収速度が比較的ゆっくりであることです。一般的に、ホエイプロテインが摂取後約2時間、カゼインプロテインが7〜8時間ほどかけて吸収されるのに対し、ソイプロテインの吸収速度はその中間で、およそ5〜6時間かかるとされています。このため、トレーニング直後に素早くタンパク質を補給したい場合にはあまり適していませんが、食間の栄養補給や就寝前に摂取することで、長時間にわたり体内にアミノ酸を供給し続けることができるというメリットがあります。
また、ソイプロテインの原料である大豆には、大豆イソフラボンという成分が含まれています。大豆イソフラボンは、女性ホルモンであるエストロゲンと分子構造が似ているため、体内でエストロゲンに似た働きをすることが知られています。エストロゲンは女性の健康維持に重要な役割を果たしており、骨の新陳代謝を促進し、骨密度を維持する作用があります。しかし、加齢とともにエストロゲンの分泌が減少すると、更年期障害の症状が現れたり、骨の代謝が衰え、骨がもろくなりやすくなることが知られています。特に閉経後の女性はエストロゲンの分泌が急激に低下するため、骨粗鬆症のリスクが高まりますが、大豆イソフラボンを含むソイプロテインを摂取することで、これをある程度補うことができると考えられています。このため、特に女性向けのプロテインとして、ソイプロテインが多く採用される傾向があります。
さらに、ソイプロテインには、脂肪の蓄積を防ぐ働きを持つ「サポニン」という成分が含まれていることも特徴的です。サポニンには抗酸化作用があり、体内の活性酸素を抑えることで細胞の老化を防ぎ、健康維持に役立ちます。また、サポニンは血液中のコレステロールの吸収を抑え、脂肪の蓄積を防ぐ効果が期待できるため、ダイエットや生活習慣病の予防にも有効であると考えられています。
さらに、ソイプロテインは「アディポネクチン」と呼ばれる脂肪燃焼を促進するホルモンの分泌を促す作用があるとされており、脂肪燃焼の促進と代謝向上を助けることが期待されています。アディポネクチンは、血糖値の調整や脂肪細胞の分解を促進する作用があり、特に内臓脂肪を減少させる働きがあることが報告されています。このため、ソイプロテインは、大きな筋肉をつけることを目的とするよりも、脂肪を減らしながら筋肉量を維持し、引き締まった身体を作ることに役立つと考えられます。
このような理由から、女性向けのプロテインとして、ソイプロテインを使用した製品が多く開発・販売されています。特に、ホエイプロテインに比べて動物性脂肪を含まないことや、乳糖を含まないため乳糖不耐症の人でも安心して摂取できる点が、ソイプロテインのメリットとして挙げられます。また、植物性のタンパク質であることから、ヴィーガンやベジタリアンの方にも適しています。さらに、ホエイプロテインに比べると比較的さっぱりとした風味が特徴であり、ダイエット中に甘ったるいプロテインを避けたい人にも向いていると言えるでしょう。
一方で、ソイプロテインはホエイプロテインに比べて必須アミノ酸のバランスがやや劣るというデメリットもあります。特に、筋肉の合成を促進する働きの強いロイシンの含有量がホエイプロテインよりも少ないため、筋肥大を目的とする場合は、ホエイプロテインと併用するか、アミノ酸バランスを考慮した食事と組み合わせることが推奨されます。また、ソイプロテインは独特の粉っぽさがあり、溶けにくい製品もあるため、飲みやすさに関しては個人の好みによる部分が大きいと言えます。
タンパク質は食事から
筋力トレーニングといえばプロテインを思い浮かべる人も多いと思いますが、まずは 食事からタンパク質を確保することが基本です。プロテインはあくまで栄養補助食品であり、食事から十分なタンパク質を摂ることが難しい場合や、トレーニングによって通常より多くのタンパク質が必要なときに活用するのが理想的です。
ただし、食事量を増やしすぎるとカロリーオーバーになったり、脂質を摂りすぎたり、一度にたくさん食べられないという問題が起こることもあります。そのようなときにプロテインを上手に取り入れましょう。逆に、バランスの取れた食事ができているなら、無理にプロテインを摂る必要はありません。
タンパク質の摂取量の目安
厚生労働省が公表している 「日本人の食事摂取基準」 によると、以下のように推奨量が設定されています。
1日あたりのタンパク質推奨量(g/日)
- 18~64歳の男性:65g
- 65歳以上の男性:60g
- 18歳以上の女性:50g
※この「推奨量」とは、健康な人が不足しないように摂取すべき最低限の基準です。
1日の総エネルギー摂取量に占めるタンパク質の割合(%)
- 18~49歳:13~20%
- 50~64歳:14~20%
- 65歳以上:15~20%
タンパク質が身体に必要な理由
タンパク質は、私たちの身体にとって欠かせない栄養素の一つであり、筋肉・皮膚・髪・爪・血液・ホルモンなどを構成する重要な材料 となります。また、エネルギー源としての役割も持ち、1gあたり4kcal のエネルギーを供給します。例えば、タンパク質10gを摂取すると40kcalのエネルギーとなります。成人女性が1日あたりの推奨量を満たすには、1食あたり約20g程度のタンパク質を摂取するのが理想で、これにより1日のタンパク質摂取量は約60gとなり、摂取カロリーは約240kcalほどになります。ただし、必要なタンパク質量は体重や運動量によって変化するため、自分に合った摂取量を意識することが大切です。
食事で摂取した 肉・魚・大豆製品・乳製品 などのタンパク質は、消化の過程で アミノ酸という最小単位に分解されます。アミノ酸は全部で 20種類 あり、そのうち 9種類は必須アミノ酸と呼ばれ、体内で合成できないため 食事から摂取する必要があります。これらのアミノ酸は、細胞の修復や血液の生成、ホルモンの合成など、生命維持に欠かせない役割を果たします。
しかし、日常の食生活ではタンパク質が不足しがちです。朝食を抜く、昼食が小さなおにぎりやパンだけという食事では、タンパク質が十分に摂れず、栄養バランスが崩れることがあります。また、「プロテインを飲んでいるから大丈夫」と思っていても、1日の総エネルギー量が不足していると、摂取したタンパク質はエネルギーとして消費され、本来の「身体をつくる材料」としての役割を果たしにくくなります。
20年前と比べると、スーパーやコンビニでは高タンパク食品やプロテインドリンクをよく見かけるようになり、粉末プロテインも溶けやすく、飲みやすく改良されています。時代とともに手軽にタンパク質を摂取できる環境が整ってきましたが、栄養の基本は今も昔も変わりません。大切なのは、食事をベースにしながら、必要に応じてプロテインや高タンパク食品を活用し、バランスの取れた食生活を意識することです。

まとめ
いかがでしたでしょうか?
タンパク質は身体にとって重要な栄養素です。
お食事からタンパク質を摂ることが基本ですが、状況に応じてプロテインも活用しながら、上手に効率良くたんぱく質を摂取してみてください。
TRANSCENDでは、一人ひとりの状況に合わせて適したメニューを組んでいます。
通う頻度についても月2回、月4回、月8回の3つのプランから選択できるので、お気軽にご相談ください。