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体内時計を整えるだけで人生が変わる!食事と光の知られざる効果

私たちが普段何気なく過ごしている毎日の生活には、「体内時計」と呼ばれる精密なシステムが深く関わっています。

朝に目覚めて夜になると眠くなるという一見当たり前のリズムも、この体内時計がしっかりと働いているからこそ保たれています。

しかし現代社会においては、夜更かしや不規則な食生活、スマートフォンやパソコンなどのデジタル機器が発する人工的な光によって、この重要なリズムが簡単に乱れてしまう環境が広がっています。

この記事では、人間の健康や日々のパフォーマンスにとって欠かせない「体内時計」の仕組みや、その乱れがどのような問題を引き起こすのか、また朝の光や朝食といった日常生活の中の習慣によってどのように整えることができるのかを詳しく解説していきます。

体内時計の重要性を改めて認識し、規則正しい生活習慣を身につけるためのヒントとしていただければ幸いです。

時間と体内時計

人間の体内には、各器官の働きを調整し、全身の機能を適切にコントロールするための複雑で精緻なシステムである「体内時計」という仕組みが存在すると言われています。

この体内時計は、朝起きて夜眠るというような1日のリズムを刻む重要なメカニズムであり、その中核的な役割を果たしているのが、多くの「時間遺伝子」と呼ばれる特別な遺伝子群です。これらの時間遺伝子は周期的な活動パターンを示し、それによって細胞の活動、ホルモンの分泌、代謝、免疫機能、睡眠覚醒リズムなど、私たちの生命維持に不可欠なあらゆる生理現象を調整しています。

現在の研究では、この体内時計が脳だけではなく、身体中のほぼすべての細胞に存在することが明らかになっています。脳の視床下部に位置する視交叉上核(しこうさじょうかく)と呼ばれる特殊な領域には、1日あたりおよそ24.5時間周期の「親時計」、いわば全身の司令塔としてのメインとなる時計が備わっています。この親時計は外部環境からの光や暗さといった刺激を受けて、地球の1日24時間という自然のサイクルに合わせて微調整され、正確なリズムを刻むよう働いています。

さらに、身体の各器官や組織にも、肝臓、胃、小腸、大腸などの消化器官、心臓や肺などの循環器官、さらには皮膚や血管、筋肉などの末梢組織にもそれぞれ「子時計」と呼ばれる、サブとなる時計が存在します。これらの子時計は、視交叉上核にある親時計からの指令を受け取りながら、それぞれが自身の臓器や組織特有のリズムを刻み、その機能を最適化しています。

ところが、この親時計が刻む24.5時間の周期と、地球が刻む1日24時間の周期が完全には一致しないため、定期的な調整が必要になります。この微妙な時間差を日々修正するのが、朝の太陽光や夜の暗闇、食事のタイミング、運動、社会的な活動リズムなどといった外部環境からの「同調因子」と呼ばれる要素です。もしこうした同調因子をうまく受け取れなかったり、生活リズムが不規則になると、親時計と子時計の同期が崩れてしまい、結果として睡眠障害、消化不良、肥満、代謝異常、精神的なストレス、免疫機能の低下などさまざまな体調不良を引き起こす可能性があります。

体内時計の重要性と生活リズムの乱れ

洞窟など、外界から完全に遮断されて光がまったく届かない暗闇のなかに、もし人間が長期間閉じ込められてしまった場合、一体どのような変化が起こるでしょうか。

こうした疑問を調べるために、動物を使った実験が行われています。実際に行われた研究の一つに、ラットを洞窟のような光がまったく入らない環境に置いて生活をさせ、その体内時計や生理的変化を観察するという実験があります。

もともと、ラットがもつ体内時計の周期は、人間と同じく約24.5時間であることが知られています。この周期は地球が刻む1日の周期(24時間)よりも30分ほど長く、このわずかな差が毎日少しずつ積み重なっていくことで、徐々に生活リズムが地球の1日の周期とずれてしまうことになります。

実際、この実験で観察された結果として、ラットの体内時計は毎日約30分ずつずれ、日を追うごとに睡眠と覚醒のタイミングが遅れていき、最終的には本来の昼夜のリズムが完全に逆転する現象が確認されています。つまり、ラットは通常なら眠るはずの昼間に活動し、起きているはずの夜間に眠るというリズムへと変わってしまったのです。

では、人間が同じように、洞窟などのような完全に外界と遮断された暗い環境に入れられた場合にはどうでしょうか。過去の研究や事例では、人間もまたラットと同様に、徐々に体内時計と地球の時間とのずれが積み重なっていき、やがて生活リズムが昼夜逆転してしまうことが知られています。このような隔離実験に参加した人間の例でも、最初のうちは普段と同じようなリズムで活動しようとしますが、外からの光や時計といった時間の手がかりが完全に失われると、徐々に活動する時間帯や眠る時間帯が後ろへずれてしまい、最終的には元のリズムと大きく変わってしまうという現象が見られています。

現代の私たちの社会生活において、実際に洞窟で生活することはほぼないと考えられますが、それに似た状況に陥ってしまう可能性はあります。それが、いわゆる引きこもり生活です。1日のほとんどをカーテンを閉め切った室内で過ごし、外部の光、特に朝の日光を浴びないような生活を送っていると、洞窟と似たような状況に置かれてしまうことになります。このような状態では、外界から朝・昼・夜という時間の重要な手がかりがほとんど得られなくなってしまいます。

しかし現代の場合、洞窟とは異なり、室内にいてもパソコン、スマートフォン、ゲーム機器など、人工的な明るい光を常に浴び続けることが多くなっています。こうしたデジタル機器から放たれる人工的なブルーライトは、自然界の光とは異なる性質を持っているため、昼と夜の境界線を曖昧にしてしまい、さらに体内時計を乱す原因になると言われています。

体内時計を整えるために必要な朝の光と朝食の役割

体内時計を乱すように夜中まで起きていたり、食事の時間が曖昧になると、本来身体を休めるべき夜間に活動状態となり、睡眠の質が低下することがあります。その結果として、翌日の日中における集中力の低下や、仕事や学業などでのパフォーマンスの悪化につながる可能性があります。さらに、このような生活を続けると、慢性的な疲労やストレス、さらには免疫力の低下やホルモンバランスの乱れなど、心身の健康に重大な影響を及ぼすことが懸念されます。

こうした問題を防ぐために非常に重要な役割を果たすのが、「朝の光」と「朝食」です。

人間の身体には、脳内に位置するメイン時計(親時計)と、身体の各組織に存在するサブ時計があります。朝になると、目に入る太陽の光が脳のメイン時計に刺激を与え、「朝が来た」という情報を全身のサブ時計に伝えます。こうして、体内時計が24.5時間の自然な周期から、実際の24時間の周期へと毎日調整され、身体のリズムがリセットされる仕組みになっています。

この「リセット」という概念は、単に昨日までの時間をリセットするだけではなく、新しい一日を迎えるために生体機能を整え直すという重要な意味を持っています。また、このリセットにおいて、朝食を摂ることも重要な役割を果たしています。朝食を摂る行為自体が脳や身体に「新しい1日の始まり」を明確に知らせることになるためです。

さらに、この仕組みが人間に備わっている理由として、視力に問題があるなどの理由で、光をうまく感知できない場合が考えられます。このため人間の体内時計は、光だけではなく食事の摂取という二つの刺激によって調整できるように進化したと考えられています。

朝食を摂るべきか否かという議論は現在も盛んですが、今回は特に時間と体内時計という視点から、朝食がどのような役割を持つかを考えてみます。

「朝食」はその名の通り、朝に食べる食事を指しますが、その重要性は体内時計との関係性からも明らかです。英語で朝食を意味する「breakfast」という単語は、「絶食状態(fast)を破る(break)」という意味を持っています。つまり、前日の夕食から朝食までの長い絶食期間を終える最初の食事が朝食です。この絶食期間は、一般的に10時間以上あることが理想とされ、この期間が確保されることで、体内時計がしっかりとリセットされ、メリハリのある一日をスタートできるようになるのです。

逆に、夕食が遅すぎたり、朝食を抜いたりすると、体内時計のリセットが不十分となり、身体が朝を認識できない可能性があります。特に朝食を抜くと、日中の食欲が増し、昼食や夕食の量が増えることで、体内時計が後ろへとずれ込んでしまう場合があります。この結果、夜間に睡眠モードへ移行することが難しくなり、不眠症や睡眠の質の低下、さらには肥満や糖尿病などの代謝疾患リスクが高まる恐れもあります。

朝食の重要性

朝目覚めると、体内時計の働きによって体温が徐々に上昇し始め、脳や筋肉、消化器官などが活動に向けて活性化されます。この時間帯に活動を開始すると、午前中から午後にかけて身体機能が最も効率よく働き、仕事や運動などのパフォーマンスが向上するとされています。午後に入ると、体温やホルモンの分泌が安定してピークを迎え、引き続き集中力や身体能力が高い状態を維持できます。

このような身体のリズムはエネルギー代謝とも密接な関係があり、食事のタイミングや内容にも重要な影響を与えることがわかっています。例えば、同じ総カロリーを摂取する場合でも、摂取時間帯を朝食に重点を置くことで健康効果がより高くなることが研究から明らかになっています。具体的には、朝食を多く摂取(例:700kcal)し、昼食を中程度(例:500kcal)、夕食を少なく(例:200kcal)することで、逆のパターン(朝200kcal、昼500kcal、夜700kcal)よりも腹囲が減少しやすく、メタボリックシンドロームの予防やダイエットにも効果的であることが実証されています。

朝食が重要である理由として、身体が朝の活動時間帯にはエネルギーを積極的に消費するのに対し、夜間は活動レベルが低下しエネルギー消費も少なくなるため、余ったエネルギーは脂肪として蓄積されやすくなるためです。ただし、完全にエネルギー消費が停止するわけではなく、夜間でも身体の各細胞や器官は活動や修復、再生などの基礎的な働きを続けており、そのための最低限のエネルギーは常に必要となります。

さらに、朝食を摂ることで「食事誘導性熱産生(DIT)」という食べる行為そのものに伴うエネルギー消費が高まります。朝食のDITは特に高いとされており、摂取したカロリーが効率的にエネルギーとして利用されやすくなります。そのため、朝食を抜くことはエネルギー効率を低下させ、逆に太りやすい状況を作る可能性があります。

日々の生活リズム、特に起床や就寝の時間が不規則である場合には、体内時計の調整が乱れ、結果として食事の時間も乱れやすくなります。特に、エネルギーを必要とする朝食を抜くことが多くなると、夜間の食事量が増加し、脂肪の蓄積や肥満のリスクが高まることになります。また、同じ食事でも摂取する時間帯によって血糖値の上昇速度が異なり、夜間の食事では血糖値が急激に上がりやすく、さらに睡眠中はインスリンの働きが低下するため血糖値が下がりにくくなります。そのため夜遅くの食事は脂肪蓄積を促進する可能性が高いと考えられています。

一日の食事を朝から夕方までの10~12時間以内の時間帯に限定することで、血糖値の安定化が促され、肥満や高血圧の改善効果があることが複数の研究から報告されています。特に、食事時間を10時間以内に収めるタイムリストリクテッド・イーティング(時間制限食事法)は健康効果が高いとして注目されています。

また、食事の間隔や食事時間帯の規則性を保つことが血糖値の安定につながり、次回の食事における急激な血糖値の上昇を抑えるという「セカンドミール効果」が得られます。例えば、朝食でしっかり栄養バランスの良い食事をとることで、昼食後の血糖値の急上昇が抑制されるという現象です。このような食事の時間帯を意識した食生活は、体内時計との調和を図り、より健康的で効率のよいエネルギー利用を促進します。

機内食のタイミングで体内時計を整える

朝食の摂り方を工夫することによって体内時計を効果的にリセットし、身体に1日の始まりを正しく伝えることができるという考え方は、海外渡航などでよく問題となる時差ボケへの対処法としても非常に有効です。

そもそも時差ボケとは、海外への長距離移動によって生じる身体のリズムの乱れであり、移動した先の国や地域と出発した場所の時間差、すなわち時差によって昼夜のタイミングがずれてしまうことで起こります。体内時計が新たな現地時間の環境にうまく適応できないために、睡眠障害、倦怠感、集中力の低下、胃腸の不調など、さまざまな不快な症状が現れることがあります。

この時差ボケの発生を防ぐためには、渡航前から渡航先の時刻に意識的に合わせて生活のリズムを調整することが重要であると、多くの研究者が提案しています。その中でも特に食事の摂り方は非常に重要なポイントであり、出発直前の食事から工夫を始める必要があります。

例えば、飛行機が夜の20時頃に出発する予定である場合、18時前後には早めの夕食を済ませ、それ以降は意識的に食事を控えて絶食時間を設けます。絶食を一定時間行うことで、消化管が休息モードに入り、次の食事を再開する際に体内時計を強く刺激し、効果的にリセットすることができます。

次に機内での食事ですが、機内食が提供されるまま漫然と食べてしまうと、身体がどのタイミングを朝や昼として認識してよいか混乱を招き、時差ボケを悪化させる原因になり得ます。そのため、機内食は現地での食事時間帯に合わせて摂取することが非常に大切です。具体的には、機内食が2回提供される場合を考えると、1回目の食事が渡航先の現地時間で深夜に相当するような時間帯であれば、そこでは食事を摂らずに水分補給程度に留め、あえて食事をパスします。その後、2回目の機内食が現地の朝食の時間帯と重なるのであれば、そこを積極的に食事を再開するタイミングとして捉え、朝食として摂取します。このように食事の摂取時間を戦略的にコントロールすることで、身体の内部時計が新しい時間帯をスムーズに認識しやすくなります。

また、その際の機内食の内容にも注意を払う必要があります。一般的には、肉料理よりも魚料理のほうが体内時計の調整に適していると言われています。魚には体内時計の働きを活発にする栄養素が豊富に含まれており、例えばDHAやEPAといったオメガ3脂肪酸が脳内の生体リズムの調整に役立つほか、体内時計を整えるホルモンであるメラトニンの生成にも良い影響を与えるとされています。したがって、機内食で肉料理と魚料理の選択肢が提示された場合は、魚料理を選ぶことによって、さらに体内時計の調整効果を高めることができます。

朝食で子供の学力や体力が向上

「早寝、早起き、朝ごはん」を意識しましょうという運動が、「早寝早起き朝ごはん」全国協議会と文部科学省を中心として日本全国で推進されています。この運動はその言葉の通り、「夜は早めに就寝し、朝は早く起床して、朝食をきちんと摂る」という生活習慣を身につけることを目的とした取り組みであり、とりわけ成長期にある子供たちの健全な心身の発達を促す狙いがあります。

朝食を規則的に摂る習慣は、単に食べ物を身体に入れて栄養補給を行うだけではなく、生活リズム全体の基礎を整えることにも繋がります。実際に複数の調査において、子供が毎日朝食を摂る習慣を身につけている場合、そうでない場合に比べて明らかに学力や集中力が高まることが分かっています。これは朝食によって脳に必要なブドウ糖などのエネルギーが供給され、脳の働きが活発になることが影響していると考えられています。さらに、朝食を毎日しっかり食べている子供は体力的にも優れ、運動能力が向上するというデータも出ています。朝食をきちんと食べることが、学力と体力という両面から子供たちの成長を支えているのです。

地域によっては、この運動を積極的に推進することで子供たちの学習効果が高まり、学校での授業を十分に集中して受けることができるようになり、塾や習い事など、学校以外での追加的な勉強をあまり必要としなくなったという事例も報告されています。これは、規則正しい生活としっかりした朝食の摂取が、家庭や学校での効率的な学習を可能にする環境を生み出しているからだと考えられています。

一方で、朝食を摂らない、あるいは摂れない子供たちは、学習効率が落ちる傾向があり、放課後の遅い時間帯まで塾や習い事に通い、学習を補完する必要に迫られるケースが見られます。こうした子供たちは夜遅くまで勉強や塾通いが続くため、結果として翌朝の起床が遅くなり、学校へ出かける直前まで寝てしまうという悪循環に陥ってしまうことがあります。その結果、朝食を摂る時間がなくなり、食事を抜いてしまうことで、日中の集中力の低下や疲れやすさ、学習意欲の低下を引き起こす要因となっています。

また朝食の重要性は、エネルギーの供給という栄養面だけにとどまりません。朝食を摂ることは、脳や身体が活動モードに入るためのスイッチを入れることと同じであり、その後の日中の活動をよりスムーズで効率的にすることができます。体内時計が正しく調整されることで、昼間の覚醒度や活動パフォーマンスが向上し、学習面だけでなく運動能力やコミュニケーション能力の向上にも貢献すると考えられています。

まとめ

体内時計の働きは、私たちの生活リズムや健康に非常に大きな影響を与えています。

特に重要なのが、朝の太陽光を浴びること、そして栄養バランスの取れた朝食をしっかりと摂ることです。

体内時計を意識して生活することは、より充実した毎日を送るための基本です。

今日からできる小さな習慣を積み重ね、体内時計を整えることで、自分自身の可能性を最大限に引き出してみてはいかがでしょうか。

TRANSCENDでは、一人ひとりの状況に合わせて適したメニューを組んでいます。

通う頻度についても月2回、月4回、月8回の3つのプランから選択できるので、お気軽にご相談ください。

豊橋市のパーソナルジム「TRANSCEND」