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胃や腸の調子を整える第6の栄養素、食物繊維とは

食物繊維は、糖質、脂質、タンパク質、ビタミン、ミネラルの五大栄養素に次ぐ「第6の栄養素」として近年注目されています。

消化や吸収はされませんが、胃や腸の働きを助け、便秘の改善や腸内環境のバランスを整えるなど、私たちの身体にとって重要な役割を担っています。

胃腸の不調を感じることが多い現代人にとって、健康を支える重要な栄養素、食物繊維。

その働きや効果について、詳しく解説していきます。

是非最後までご覧ください。

食物繊維は第6の栄養素

食物繊維は「第6の栄養素」と呼ばれ、近年その重要性がますます注目されています。一般的に知られているように、栄養素の中核をなすのは糖質、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルという5大栄養素ですが、食物繊維はそれらに次ぐ新たなカテゴリーとして位置付けられています。

食物繊維は食べ物の中に含まれる繊維質の成分であり、人間が摂取しても体内で消化・吸収されないという特徴を持っています。糖質、タンパク質、脂質は私たちの体内で消化酵素によって分解され、小腸を通じて栄養として吸収されますが、食物繊維はこれらの消化酵素によって分解されることなく、小腸をそのまま通過し、大腸に到達します。

かつては食物繊維は食べ物の消化されない残り物、いわゆる「食べカス」のような扱いを受け、栄養としては価値が低いと考えられていました。しかし近年の研究が進むにつれて、食物繊維が体内でさまざまな重要な役割を果たしていることが明らかになり、その評価は一変しました。

食物繊維の働きとして代表的なものは、便秘の予防や改善、腸内環境の整備、血糖値の急激な上昇を抑える働き、コレステロール値の低下、さらに大腸がんや心疾患、糖尿病などの生活習慣病の予防にも役立つことが多くの研究によって明らかにされています。これらの効果を踏まえ、食物繊維は単なる食べ物の残りカスではなく、健康維持や病気の予防に欠かせない重要な栄養素として位置づけられるようになったのです。

炭水化物の中には主に糖質と食物繊維が含まれています。糖質はエネルギー源として機能し、体内で消化吸収されやすい性質を持つ一方、食物繊維は消化吸収されにくく、腸内環境の改善に役立つ性質を持っています。炭水化物を控えるダイエットなどが流行している現代では、炭水化物自体を避ける傾向が強まっていますが、炭水化物を極端に制限すると、食物繊維が不足してしまうリスクがあります。食物繊維は野菜、果物、全粒穀物、豆類などに豊富に含まれているため、これらをバランス良く摂取することが重要です。

厚生労働省によると、日本人が1日に摂取すべき食物繊維の目標量は、男性が21g以上、女性が18g以上とされています。しかし、現在の日本人の平均摂取量は男女とも15g程度にとどまっており、推奨量を下回っています。実際、日本人を対象とした長期的な調査では、食物繊維の摂取量が1日20g以下になると総死亡率が顕著に増加することが報告されています。この結果からも、食物繊維の不足が健康に深刻な影響を及ぼしていることが伺えます。

食物繊維の摂取不足は便秘や腸内環境の悪化だけでなく、肥満、糖尿病、高血圧、心臓病など多くの生活習慣病との関連性が指摘されています。特に現代では、精製された食品やファストフードの普及により、繊維が不足した食生活が広がっていることが問題視されています。日々の食事で意識的に食物繊維を増やすことで、生活習慣病の予防はもちろん、腸内環境の改善を通じて免疫力の強化や肌荒れの改善など、多岐にわたる健康効果が期待できます。

これらのことを考えると、私たちは日常生活で食物繊維を「第6の栄養素」として認識し、積極的な摂取を心がけることが非常に重要だと言えるでしょう。

食物繊維がもたらす腸内環境の整備

お通じが悪いと感じる場合、その原因の一つとして食物繊維の摂取不足が考えられます。

食物繊維は、その性質によって大きく「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」の二種類に分類されます。それぞれ異なる働きを持つため、自分の腸の状態に合わせて適した種類の食物繊維を摂ることが重要です。

水溶性食物繊維は、水に溶けやすい性質を持ち、腸内でゲル状になって働きます。代表的なものとしては、野菜や果物に多く含まれる「ペクチン」、海藻に含まれる「アルギン酸」、こんにゃくに含まれる「グルコマンナン」などがあります。これらの水溶性食物繊維は、便を柔らかくし、腸内の移動を滑らかにすることで便通を促進します。また、糖質の消化・吸収速度を緩やかにすることで、食後の血糖値の急激な上昇を抑制したり、コレステロールの吸収を妨げることで動脈硬化を予防したりする働きもあります。ただし、水溶性食物繊維を過剰に摂取すると腸内が過敏になり、下痢を引き起こす可能性もあるため、適切な量を守って摂取することが大切です。

一方、不溶性食物繊維は水に溶けにくく、腸内で水分を吸収して膨らむ性質を持ちます。主に穀物の外皮や豆類に含まれる「セルロース」や「ヘミセルロース」などが代表的です。不溶性食物繊維は便のかさを増やし、腸壁を刺激することによって腸の蠕動運動を活発にし、排便を促進します。また、便が大腸を通過する時間を短縮することで、有害物質や老廃物が腸内に滞留するのを防ぎ、大腸がんなどの腸疾患の予防にも貢献します。しかし、不溶性食物繊維を摂りすぎると、便のかさが増えすぎて逆に便秘が悪化したり、お腹の張りやガスが増えたりすることもあります。特に慢性的な便秘症の人は、不溶性食物繊維の摂取量を適度に調整する必要があります。

このように、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の性質と役割を理解し、自分の腸の状態や体調に合わせてバランス良く摂取することが、健康的な腸内環境の維持・改善に繋がります。毎日の食生活で、野菜、果物、海藻類、豆類などの多様な食材を意識的に摂り入れることで、便秘や腸内環境のトラブルを予防し、健康で快適な生活を送ることができるのです。

食物繊維は腸内細菌を増殖させる

人間の腸内には、100兆個、1000兆個とも言われる膨大な数の腸内細菌が存在します。(最新の研究では約40兆個とされることもあります)

食物繊維は人間の体内では消化・吸収されない特性を持っていますが、腸内細菌にとっては非常に重要な栄養源となります。腸内細菌も生き物であり、私たちと同様に栄養がなければ活動を維持することができません。人間の身体はおよそ37兆個の細胞から構成されていると言われていますが、腸内細菌の数はそれを大きく上回っています。そのため、腸内細菌の栄養源である食物繊維を摂ることは、私たちが健康で快適な生活を送る上で非常に重要であると考えられます。

食物繊維が不足すると、腸内細菌はエサが不足し、腸の粘膜を栄養源として消費してしまう場合があります。この結果、腸の粘膜が傷つき、腸内環境が悪化してしまいます。このような状況を防ぐためにも、私たちは食物繊維を意識的に摂取して腸内細菌と共存していく必要があります。

腸内細菌は食物繊維を栄養源にして「短鎖脂肪酸」という物質を生成します。この短鎖脂肪酸は腸管の健康維持にとって非常に重要な役割を果たします。特に大腸の細胞にとっては短鎖脂肪酸が主要なエネルギー源であり、これを利用して腸管の細胞のターンオーバーが促されます。これにより、傷ついた腸粘膜が速やかに修復され、腸内の炎症を鎮静化させる効果が期待できます。

また、短鎖脂肪酸には強力な抗炎症作用があります。腸内の炎症を抑えることで、消化管の慢性的な疾患や炎症性腸疾患などのリスクを軽減することにもつながります。

さらに、短鎖脂肪酸が生成されることにより、腸内環境は弱酸性に保たれます。この弱酸性の環境下では、タンパク質を分解するための消化酵素の活性化が促進され、タンパク質の吸収効率が向上します。また、腸内が弱酸性になることでミネラルが水溶性のイオン化状態となり、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルの吸収効率も高まります。

つまり、食物繊維を適切に摂取することで腸内細菌が元気になり、短鎖脂肪酸の生成が促進され、腸内環境が整うことによって消化吸収機能が向上し、免疫機能の強化や生活習慣病の予防など、全身の健康維持にも大きく寄与するのです。

食物繊維で血糖値の急上昇を防ぐ

具体的には、食事で糖質を摂取する際、食物繊維が糖質を包み込んで消化・吸収を遅らせることで、食後の血糖値の急激な上昇を抑える効果があります。この作用は、血糖値の変動が激しいとされる糖尿病や、その前段階である耐糖能異常のリスクを軽減することにもつながります。

特に水溶性食物繊維を積極的に摂取すると、消化管内でGLP-1というホルモンの分泌が促進されます。このGLP-1は、膵臓からのインスリン分泌を刺激し、糖質の吸収後の血糖値を正常範囲に保つ役割を果たします。つまり、食物繊維を摂取することでインスリンが適切に分泌され、食後の高血糖状態を予防し、血糖値の安定化に寄与するのです。このため、糖尿病の予防や改善にも非常に重要な働きをしています。

さらに、GLP-1の分泌によって血糖値の急激な上昇と、その後に起こる急激な低下、いわゆる血糖値スパイクを防ぐ効果もあります。血糖値スパイクは身体に大きな負担を与え、長期的には心血管疾患や動脈硬化、認知症などの生活習慣病リスクを増加させると考えられています。そのため、食物繊維の摂取を意識することは、これらのリスク軽減にもつながります。

また、近年「ベジタブルファースト」という食事法が提唱されていますが、これは食事の最初に野菜など食物繊維を豊富に含む食品を食べることを指します。食事の初めに野菜を摂取すると、食物繊維が糖質の消化・吸収を遅らせるため、後から摂取する主食や糖質の多い食材による血糖値の急上昇を抑制できます。この方法は簡単で実践しやすく、日常生活で手軽に血糖値コントロールをするための有効な手段とされています。

食物繊維は糖質の吸収だけでなく、脂質の吸収も穏やかにする働きがあります。特に水溶性食物繊維は、腸内で胆汁酸や脂質を包み込み、コレステロールの再吸収を抑制することでLDL(悪玉)コレステロール値を低下させます。その結果、動脈硬化や心疾患といった循環器系疾患のリスクを軽減する効果があります。

糖質や脂質の吸収を抑えることによって、摂取エネルギーを自然に減少させ、肥満の予防やダイエット効果も期待できます。肥満は糖尿病、高血圧、高脂血症などの生活習慣病と密接に関係しているため、食物繊維を積極的に摂取して適正体重を維持することは、健康の維持・増進において非常に重要な役割を果たすのです。

食物繊維を多く含む食材

・雑穀類

雑穀類は白米に比べて食物繊維を多く含んでおり、主食として糖質を摂取しながら食物繊維もしっかりと補給できる食材です。また、糖質が豊富なため細胞にとって重要なエネルギー源となるだけでなく、腸内細菌のエサとなり腸内環境の改善にも寄与します。玄米、押し麦、もち麦、ひえ、あわ、きび、アマランサスなど種類が豊富なので、自分の好みや体調に合わせて組み合わせて摂取することをおすすめします。

・納豆

納豆は日本の伝統的な発酵食品で、食物繊維が豊富なだけでなく、腸内環境を整える善玉菌である納豆菌が多く含まれています。さらに、血液を作る際に重要な鉄分、神経や筋肉の働きをサポートするマグネシウムも含んでおり、毎日の食生活に取り入れることで、総合的な健康維持につながります。特に、納豆に含まれるナットウキナーゼは血栓予防にも効果が期待されている成分です。

・海藻類

海藻類にはわかめ、昆布、のり、ひじきなどがあり、水溶性食物繊維が非常に豊富です。また、海藻にはマグネシウム、カルシウム、ヨウ素などのミネラルも多く含まれ、骨の健康や甲状腺機能の維持に役立ちます。一度に大量に摂ることは難しいかもしれませんが、汁物、サラダ、おにぎりの具などとして毎日の食事に少量ずつ取り入れることで無理なく継続的に摂取できます。

・にんじん、ほうれん草

これらの野菜類には食物繊維が豊富なだけでなく、ビタミン類も豊富に含まれています。特に、にんじんにはβカロテンが多く含まれており、抗酸化作用によって細胞の老化を抑え、視力の維持や免疫機能の強化にも役立ちます。ほうれん草には葉酸が多く、貧血予防や胎児の正常な発育をサポートします。生でも加熱してもおいしく食べられるため、さまざまな料理に使いやすい野菜です。

・きのこ類

きのこ類はしいたけ、えのき、しめじ、まいたけなどが代表的で、食物繊維が豊富なほか、ビタミンDも多く含まれています。ビタミンDは骨の形成やカルシウムの吸収を促進する栄養素であるとともに、免疫機能を調整する働きがあり、細菌やウイルスから身体を守るための抗菌タンパク質の生成をサポートします。きのこは低カロリーで満腹感を得やすいため、ダイエットや健康維持にも適した食材です。

その他にも、さつまいも、ごぼう、オクラ、アボカドなど、多くの食材に食物繊維が豊富に含まれています。日常的に摂りやすいものを選び、バランスよく食卓に取り入れていきましょう。

まとめ

身体に良いと言われる食物繊維。

食物繊維は、腸内環境を整えるだけではなく、糖質や脂質の吸収を穏やかにすることで、血糖値やコレステロール値の調整にも深く関わっています。

日々の食事で好き嫌いをせず、バランスよく食べることが、長期的な健康維持につながる大切なポイントとなるのです。

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