MENU

友達を追加

ID:@356qujoi

公開日  更新日

太る人と太らない人がいるのはなぜ?食欲と肥満の関係性

現代の食環境では美味しい食べ物が身近にあふれ、つい食べ過ぎてしまいがちです。

なぜ私たちは過剰に食べてしまうの?

脂肪が増え過ぎると身体にどのような影響があるの?

食べ過ぎを防ぐためにはどうしたら良いの?

この記事ではそんな疑問について詳しく解説していきます。

是非最後までご覧ください。

脂肪は必要なエネルギー

私たちの身体は、日々摂取するカロリーと、活動によって消費するカロリーのバランスによってエネルギー管理を行っています。このバランスが崩れ、摂取するエネルギーが消費するエネルギーよりも多くなると、過剰になったエネルギーを脂肪として身体に蓄積します。反対にエネルギーが不足すると、蓄積している脂肪を分解してエネルギーとして利用します。

「食べ過ぎると太る」ということは、多くの人が当たり前に感じることですが、なぜ食べ過ぎてしまうのかという点について考えることが重要です。

一つの理由は、現代には食べたいと思える美味しい食べ物が豊富に存在し、手軽に手に入る環境に囲まれているからです。目の前に美味しい食べ物があれば、脳がそれを欲しがり、結果として必要以上に食べてしまう傾向があります。

もう一つの理由として、生き物としての基本的な本能、つまり「食欲」が深く関係しています。動物には生命を維持するためにエネルギーを摂取する本能的な欲求があります。これにより、身体は自然と食べ物を求め、エネルギーを確保しようとします。特に栄養価が高く、高カロリーの食べ物ほど本能的に好まれやすい傾向があり、これが食べ過ぎの原因となることも多いです。

体内に脂肪が過剰に蓄積された状態を一般的に「肥満」といいますが、肥満そのものは病気というわけではありません。しかし、肥満は体内の代謝を乱し、糖尿病、高血圧、脂質異常症、さらには心疾患など様々な病気のリスクを高める要因になることがあります。そのため、肥満になる前に食生活や生活習慣を見直し、予防・改善に努めることが推奨されています。

私たちの身体は食欲をコントロールするためのさまざまな仕組みを備えています。満腹感や空腹感を感じるのも、脳と身体の間の複雑なメカニズムが影響しています。しかし、環境や心理的な要因によって食欲の調節がうまく働かず、ついつい食べ過ぎてしまうことがあります。

体脂肪は主に皮膚の下に蓄積される「皮下脂肪」と、内臓の周囲に蓄積される「内臓脂肪」の2種類があります。これらはどちらも脂肪細胞が集まってできています。例えば、霜降り肉の「サシ」の部分も脂肪細胞が集まったものであり、見た目にもわかりやすい例と言えます。

成人の体内には数百億個もの脂肪細胞が存在するといわれています。この脂肪細胞は球体状で大きく、中に脂肪を蓄えることを専門に行っています。脂肪細胞が蓄える脂肪の主成分は「中性脂肪(トリグリセリド)」です。この中性脂肪は、体内でエネルギーが不足した時に速やかに分解され、血液中に放出されて筋肉や他の細胞にエネルギー源として供給されます。

食事をすると、食品に含まれる糖質が分解されてブドウ糖となり、タンパク質はアミノ酸に、中性脂肪は脂肪酸やグリセロールとなって血液中に流れ出します。これらが血液中に多く存在すると、身体はまずこれらの栄養素をエネルギーとして消費します。しかし、血中の栄養素が消費されて不足すると、今度は脂肪細胞に蓄積された中性脂肪が分解されてエネルギー供給を行います。

例えば、夜寝ている間は食べ物を摂取しないため、身体は蓄積した脂肪を分解し、それをエネルギーとして利用します。朝食を摂ることで再び血液中に新たなエネルギーが供給され、消費されなかった余剰エネルギーは再び脂肪細胞に中性脂肪として蓄積されます。このようなエネルギーの供給と貯蔵を、身体は繰り返してエネルギーバランスを保っています。

脂肪は非常に高密度のエネルギー源であり、1kgあたり約7200kcalのエネルギーを蓄えているとされています。この7200kcalはフルマラソンを1回走るのに相当するエネルギー量であり、エネルギーの密度の高さを示しています。このため、蓄積された脂肪を減らすには、食事管理とともに運動を組み合わせ、消費エネルギーを増やしてバランスをとることが重要です。

【関連記事】

脂肪が増える原因と脂肪を落とすポイント

恒常性の食欲と快楽性の食欲

医学や生物学の分野において研究を進める際、ネズミが実験動物としてよく用いられています。研究で用いられるネズミは通常、一定の温度や湿度が保たれた環境下の飼育箱で管理されています。その飼育箱内では、エサや水が常に利用可能であり、ネズミはいつでも自由に飲食することができます。

こうした自由に飲食できる環境に置かれたネズミは、驚くことにほとんど肥満になることはありません。研究者が観察すると、ネズミは毎日ほぼ一定量のエサを摂取しており、自身の体重を一定に保つような摂取量を維持しています。

エサを意図的に取り上げ、食べることができない状態にすると、当然ネズミの体重は次第に低下します。しかし、再びエサを提供すると、ネズミは以前よりも多くの量を摂取して体重を元に戻します。その後、体重が元に戻ると、自然と摂取量を抑えて、それ以上体重が増えないようにコントロールすることが観察されています。

これらの行動から、ネズミには自らの適正な体重を認識し、体重の増減に応じて摂取量を調整する能力が備わっていることが明らかです。ネズミの食欲は、身体内部のエネルギー量をセンサーとして働く仕組みによってコントロールされていると考えられています。

一方で、人間の場合、ネズミのような単純なエネルギー量の調整に加えて、心理的要因による食欲の変動が大きく関与しています。例えば、人間は食事を摂って十分満腹感を感じていても、美味しそうなデザートが目の前にあれば「別腹」と表現して食べてしまうことがあります。この現象は、デザートを食べることで得られる喜びや幸福感という感情的要素が、身体が実際に必要としているエネルギー量とは無関係に食欲を刺激するためです。

食欲に関するある研究では、3歳児と5歳児の食事摂取量の違いを比較したものがあります。3歳児に少量、中量、大量の食事を与え、「好きなだけ食べても良い」という条件下で観察すると、どの条件でも摂取量は一定で変わりませんでした。一方、5歳児では、大量の食事を提供すると、本来必要な量を超えて食べてしまうことが観察されました。このことから、3歳児はネズミと同様に自身の適正摂取量を感覚的に調整する能力を持っているのに対し、5歳児になるとこの能力が衰え、目の前にある食べ物の量や魅力によって食欲が影響を受けやすくなると推測されています。

さらに、他の研究結果と照らし合わせてみると、人間の食欲はおよそ4歳ごろを境にして、精神的な刺激に対して敏感に反応するようになることがわかっています。専門の研究者は、このような心理的、情緒的な刺激によって引き起こされる食欲を「快楽性の食欲」と定義しています。一方、身体内部のエネルギー不足から起こる基本的な食欲を「恒常性の食欲」と呼んで区別しています。恒常性とは、生体が内部環境を一定に保とうとする性質のことで、例えば体温調整、血圧や心拍数の調整などに関わる機能の一環です。

食欲の調整には脳の中でも「視床下部」と呼ばれる部分が大きく関係していることが明らかになっています。視床下部の一部の領域の機能が低下すると食欲が異常に増加し、別の領域が損傷すると食欲が減少し、体重が低下してしまうことが実験によって示されています。このようなことから、視床下部内に「満腹中枢」と「空腹中枢」と呼ばれる領域が存在し、これらが相互に作用して食欲を適切に制御していると考えられています。つまり、人間の食欲は恒常性による基本的なエネルギー調節と快楽性による心理的・情緒的な要素が複雑に絡み合った非常に精密なシステムとして働いているのです。

恒常性の食欲が起こる仕組み

食欲に深く関係しているホルモンの一つが「レプチン」です。レプチンは主に脂肪細胞から分泌されるホルモンであり、その量は体脂肪の蓄積量に比例して増加します。このホルモンは血液を通じて脳の視床下部に到達し、視床下部に存在する満腹中枢を刺激することで食欲を抑制する働きを持っています。レプチンが十分に作用すると、摂取量が自然と減少し、結果的に体脂肪量が過剰になるのを防ぎます。

また、レプチンには食欲を抑制する作用に加えて、交感神経を刺激して蓄積された中性脂肪を分解し、エネルギーとして活用しやすい状態にする効果もあります。これにより、体脂肪が増えすぎることなく、一定の範囲内に維持されるよう調整される仕組みとなっています。

例えば、過剰に食べて体脂肪が増えると、脂肪細胞からのレプチン分泌量が増加し、満腹感を強めて食欲が自然と抑えられます。その結果、摂取カロリーが減少して体脂肪量が元の適正範囲に戻ります。逆に、食事の量が減って体脂肪が減少すると、レプチンの分泌量も減少します。すると満腹感が得られにくくなり、空腹感が増して摂取量が再び増加し、適正な体脂肪量を取り戻すように調節されるのです。このようなメカニズムが日々の食欲や摂取量のベースラインを決定する恒常的な調節機構となっています。

しかし、体脂肪が過剰な状態が長期間続くと、体内に「レプチン抵抗性」と呼ばれる現象が生じることがあります。レプチン抵抗性とは、レプチンが十分に分泌されているにもかかわらず、その作用が脳内で効きにくくなる状態のことを指します。この抵抗性が生じると、食欲を抑えるレプチンの作用が弱まってしまい、体脂肪が増えているにもかかわらず食欲を抑えることが困難になります。その結果、食べ過ぎが続き、体脂肪がますます増えてしまう悪循環が生じるのです。

このように、体重や体脂肪量の長期的なコントロールにレプチンは重要な役割を果たしますが、食事ごとの空腹感や満腹感の調節には、また別のホルモンや神経系の働きが深く関わっています。その一つが「消化管ホルモン」と呼ばれる胃や腸などの消化管から分泌されるホルモン群であり、もう一つが消化管と脳をつなぐ「迷走神経」です。

消化管ホルモンの代表的なものとして「グレリン」が挙げられます。グレリンは胃から分泌され、唯一空腹感を引き起こして摂食行動を促進する働きを持つホルモンです。グレリンの分泌量は食事前に増加し、食事を摂ることで減少するという特徴を持っています。また、朝食、昼食、夕食などの食事時刻が近づくとグレリンの分泌量が増加し、空腹感を高めることによって確実にエネルギーを摂取させる生理的な仕組みが存在します。反対に、食事を食べ損ねたり、一定時間を過ぎたりすると、グレリンの分泌が自然と低下し、空腹感が徐々に消失することも知られています。

さらに、迷走神経は消化管の内部状態をモニターする役割を担っています。食べ物が胃や腸に入ると、迷走神経はその情報を脳の視床下部に伝えます。その情報を受け取った視床下部は、空腹感や満腹感を調節し、摂取量をコントロールします。迷走神経によるこのような感覚的な情報伝達が、食事ごとの食欲や摂取量を細かく調整することにつながっています。

快楽性の食欲が起こる仕組み

私たちが感じる「快・不快」の感情は、脳の中にある扁桃体という部分で判別されています。扁桃体は特に、危険や恐怖を感じる状況で活発に働きます。例えば、ある食べ物を食べて腹痛や体調不良を経験した場合、その後に同じ食べ物を見たり匂いを嗅いだりした際に、不快感や嫌悪感を抱くようになります。これは扁桃体が過去の不快な経験を記憶し、再び同じ危険や不快を避けようとする防御的な反応を引き起こしているためです。このような仕組みによって、有害な食べ物や危険な物質を避けることができ、身体を守る役割を果たしています。

一方、「快」の感情、すなわち幸福感や満足感は、脳の「報酬系」と呼ばれる神経ネットワークと密接に関係しています。報酬系は主にドーパミンというホルモンが放出されることで活性化されます。ドーパミンは脳内で快楽や満足感を引き起こす重要な物質であり、このホルモンが分泌されることで、人間は「快楽」という感情を得ます。

特に依存症と呼ばれる状態は、この報酬系のシステムが過剰に活性化されることによって引き起こされることが知られています。依存症になると、特定の行動や物質を摂取することで報酬系が強く刺激され、大量のドーパミンが放出されます。その快楽を再び得るために、繰り返し同じ行動を取るようになってしまうのです。

食欲に関しても同様で、脳は特定の食べ物を摂取することが「有益」であると判断すると、報酬系が活発化し、食べることで快楽性の食欲が生じるようになります。特に砂糖を含む甘い食品や脂肪分が多い食品は、この報酬系を強く刺激しやすい栄養素とされています。一方、出汁などに含まれる旨味成分は、報酬系をあまり刺激しないため、それほど強い快楽や依存性を引き起こさないとされています。

甘いものや脂肪分の高い食べ物に対して人が強い幸福感や満足感を感じるのは、この報酬系がドーパミンを放出し、脳内で快楽を引き起こしているためです。このため、身体が必要なエネルギーを十分に摂取して満腹感を感じていても、脳が報酬系によるさらなる快楽を求めてしまうことがあります。この快楽を求める欲求によって、余分なカロリーを摂取してしまうことが頻繁に起こります。

結果として、食べ過ぎが続くことで体脂肪過多、さらには肥満へとつながるのです。

食べ過ぎを防ぐために

食べ過ぎを防ぐためには、まず「充分に食べた」ということを明確に脳で認識する必要があります。例えば、「ながら食べ」と呼ばれる、テレビを見たりスマートフォンを操作したりしながら食事をする行動は、知らず知らずのうちに摂取量が増える原因の一つとなります。これは脳が食事に集中していないため、どれだけ食べたかが正確に認識されず、満腹感を感じるまでに通常より多くの食べ物を摂取してしまうためです。ながら食べは、満腹感や満足感を感じるタイミングを遅らせ、結果として摂取カロリーを過剰に増やしてしまいます。

食事の際に摂取した内容や量について意識を高めるために、食べたものを記録することは効果的なダイエット方法の一つとされています。食事内容を記録すると、自分が何をどのくらい食べたかを具体的に把握できるようになり、脳に食事内容や量を正確に認識させることができます。この方法を実践すると、無意識のうちに余分に食べてしまう行動が抑制され、食べ過ぎを防ぐことにつながります。

また、食べ過ぎを避けるためには、日々の小さな達成感を積み重ねることも重要です。例えば、「今日は適量を食べて、食べ過ぎなかった」という認識を持つことで、それが脳内でポジティブな達成感として記憶されます。このような小さな成功体験を継続的に積み重ねていくと、脳は自然と次回も同様の満足感や達成感を求めるようになります。その結果、自然と食べ過ぎのサイクルから脱出できる可能性が高まります。

さらに、食事の際にゆっくりとよく噛んで食べることも非常に重要です。よく噛むことによって脳の満腹中枢が刺激されやすくなり、早い段階で満腹感を得ることができます。反対に、急いで食べると満腹中枢が刺激されるまでに時間がかかるため、必要以上に食べてしまう可能性が高まります。

自分の食習慣を意識的に管理し、恒常性と快楽性のバランスを適切に保ちながら、健康的な食生活を維持しましょう。

まとめ

食べ過ぎを予防するためには、食事の量や内容を意識的に把握し、「充分に食べた」と脳に認識させることが重要です。

日々の食事を記録する習慣や、ゆっくり噛んで食べる習慣を身につけることで、恒常性と快楽性の食欲のバランスが整いやすくなります。

食欲のコントロールは健康維持の基本です。小さな努力を積み重ね、食べ過ぎのサイクルから抜け出し、健康的な身体と充実した生活を目指しましょう。

TRANSCENDでは、一人ひとりの状況に合わせて適したメニューを組んでいます。

通う頻度についても月2回、月4回、月8回の3つのプランから選択できるので、お気軽にご相談ください。

豊橋市のパーソナルジム「TRANSCEND」