低血糖の原因と対策

「朝起きるとだるい」「常に頭痛がする」
このような症状がある方もいるのではないでしょうか?
これには低血糖が関連しているかもしれません。
低血糖の症状は軽度のものから重度のものまで幅広く、だるさや頭痛などの初期のサインから、意識障害や昏睡といった危険な状態にまで至ることもあります。
この記事では、低血糖が身体に及ぼす影響、原因、対策について詳しく解説していきます。
是非最後までご覧ください。

低血糖とは
血糖値とは、血液中に含まれるブドウ糖の濃度を指し、その値が一定の基準よりも低下した状態を「低血糖」と呼びます。血糖は脳や筋肉をはじめとする身体のあらゆる細胞にとって重要なエネルギー源であり、これが不足するとさまざまな身体の不調が引き起こされます。
低血糖の主な症状としては、手足の震え、めまい、目のかすみ、発汗、倦怠感、いら立ち、不安感、頭痛、強い空腹感などが挙げられます。これらの症状は、血糖値が下がることでエネルギー供給が不足し、身体が正常に機能できなくなるために起こります。低血糖は病気として診断されることは少ないものの、日常的に体調不良を感じる人にとっては、健康状態を左右する大きな要因となることがあります。
一般的に、健康な人の空腹時の血糖値は 70~110mg/dL 程度とされていますが、この基準値内に収まっていたとしても、不調を抱える人が少なくありません。血糖値の基準値は病気か健康かを判断するための指標ですが、必ずしも個々の体調を反映しているとは限らず、基準値内でもエネルギー供給のバランスが崩れているケースもあります。たとえば、10時間以上絶食した状態で血糖値が 90~100mg/dL を維持できている場合、体内では糖新生という仕組みが適切に働き、血糖値を一定に保つ能力が備わっているといえます。しかし、不調を抱える人の場合、空腹時の血糖値が 90mg/dL を下回っていることが多く、これが低血糖による影響を受けているサインとなることがあります。
低血糖の影響は血糖値の低下度合いによって異なり、数値が下がるにつれて次第に症状が重くなります。
具体的には、
- 60mg/dL … 発汗、手足の震え、動悸、不安感、熱感、悪寒
- 50mg/dL … 集中力の低下、眠気、脱力感、めまい、強い疲労感、視界のぼやけ
- 40mg/dL … 強い眠気(嗜眠)
- 30mg/dL … 昏睡状態
といった症状が現れるとされています。これらの数値は、医学的に病気として低血糖を捉えた際の指標ですが、実際には血糖値がここまで極端に下がらなくても、身体に不調を感じる人は多くいます。特に 90mg/dLを下回るあたり から、エネルギー不足による不調が現れやすくなることが分かっており、この数値が低血糖の目安のひとつとされています。血糖値の変動による不調を防ぐためには、日頃の食事や生活習慣を見直し、血糖値を安定させることが重要です。
低血糖はなぜ起こる?
⒈糖質を摂っていない
現代では、糖質制限や極端なカロリー制限を取り入れたダイエットが流行していますが、これが低血糖の原因となることがあります。
糖質は、体内でエネルギー源として利用される栄養素の一つであり、特に脳や赤血球にとっては欠かせません。しかし、無理なダイエットを行い、必要な糖質を極端に減らしてしまうと、身体はエネルギー不足に陥ります。その結果、血糖値が下がりやすくなり、低血糖の症状が現れる可能性が高まります。
特に、朝食を抜いたり、夕食を極端に減らしたりすると、一晩中エネルギー供給が行われず、翌朝に強い倦怠感、めまい、頭痛を感じることがあります。これは、夜間に血糖値が下がりすぎたために起こる症状です。また、運動をしている人が適切な糖質を補給しないと、運動中や運動後に低血糖を引き起こし、めまい、意識の低下、極度の疲労感などを感じることがあります。
⒉糖質しか摂っていない
「糖質を摂っていれば血糖値が維持できる」と思われがちですが、実はそうではありません。
糖質は、単独で摂取すると消化吸収が早く、血糖値が急激に上がった後、急降下することが多くなります。特に、白米、パン、麺類などの精製された糖質のみを摂取した場合、血糖値が急上昇した後にインスリンが大量に分泌され、その結果として血糖値が急激に低下しやすくなります。これが「血糖値スパイク」と呼ばれる現象であり、急激な血糖値の変動が体調不良の原因となることがあります。
この血糖値の急激な変動を防ぐためには、タンパク質や食物繊維と一緒に糖質を摂ることが重要 です。タンパク質は消化を穏やかにし、血糖値の急激な上昇や下降を抑える働きがあります。また、食物繊維は腸内で糖の吸収を遅らせるため、血糖値の安定に寄与します。
さらに、血糖値を維持するためには、体脂肪や筋肉を分解してエネルギーを作り出す「糖新生」という仕組み が働きます。この糖新生を促すのが、コルチゾールやグルカゴンといったホルモン ですが、これらのホルモンの材料となるのがタンパク質です。つまり、タンパク質が不足するとホルモンの働きが低下し、血糖値を安定させる能力が弱まってしまうのです。
⒊睡眠不足やストレス
生活習慣や精神的なストレスも、低血糖の原因となることがあります。
睡眠不足や慢性的なストレスが続くと、体内でコルチゾール というストレスホルモンが過剰に分泌されます。コルチゾールは通常、血糖値を維持する役割を果たしますが、過剰に分泌されると糖の利用が激しくなり、結果として血糖が不足しやすくなります。
また、ストレスが強くなると交感神経が優位になり、身体がエネルギーを消費しやすい状態になります。このとき、血糖値の調整がうまくいかなくなると、低血糖の症状が現れやすくなります。特に、忙しいビジネスパーソンや睡眠時間が短い人は、知らないうちに低血糖状態に陥っている可能性があります。
ストレスによる低血糖を防ぐためには、十分な睡眠を確保し、リラックスできる時間を作ることが大切 です。
⒋糖に関連する持病がある
低血糖を引き起こす原因の一つに、糖に関連する疾患があります。特に、糖尿病や糖尿病予備軍の場合、血糖値のコントロールが難しくなるため、血糖値が急に下がることがあります。糖尿病治療薬の服用やインスリン注射を行っている場合は、過剰な血糖降下作用によって低血糖を引き起こすリスクもあるため、慎重な管理が必要です。
また、貧血も低血糖を引き起こしやすい とされています。貧血とは、血液中の赤血球やヘモグロビンが不足している状態であり、これによって酸素供給能力が低下します。酸素は細胞がエネルギーを生産するために不可欠な要素であり、貧血の状態が続くとエネルギー不足になり、血糖値が十分に上昇しなくなることが考えられます。特に、鉄欠乏性貧血の人は、低血糖の症状を感じやすい傾向にあります。
低血糖を防ぐ栄養摂取
私たちが動くためにはエネルギーが必要であり、そのエネルギーを作り出すためには、食事から摂取する栄養素が欠かせません。栄養素には、糖質・タンパク質・脂質・ビタミン・ミネラル・食物繊維の六大栄養素 がありますが、このうち 糖質・タンパク質・脂質の三大栄養素 は、直接エネルギーとして活用されるものです。一方、ビタミン、ミネラル、食物繊維は、体内のさまざまな機能を調整する役割を持つものの、それ自体はカロリーを持たないため、エネルギー不足を防ぐためには、三大栄養素の摂取が特に重要になります。
三大栄養素の中で、最も効率よくエネルギーを供給できるのが「糖質」です。 糖質、タンパク質、脂質はすべてエネルギー源となりますが、それぞれがエネルギーとして使われるスピードには違いがあります。
たとえば、タンパク質は消化が難しく、体内でエネルギー源として利用されるためには、まず肝臓で糖新生を行い、アミノ酸を糖に変換する必要があります。この過程には時間がかかるため、すぐにエネルギーを必要とする場面では、タンパク質だけでは対応が難しくなります。
また、脂質もエネルギー源として利用されますが、これをエネルギーに変えるためには、中性脂肪を分解し、肝臓で糖へと変換する必要があり、これにも時間がかかります。
そのため、低血糖を予防するには、最もスムーズにエネルギー供給ができる糖質の摂取が不可欠です。 糖質は持続的なエネルギー源として利用できるため、食事では主食として適切に摂取することが望ましいです。
また、糖質だけでなく、タンパク質、脂質、食物繊維などのバランスも考慮しながら食事をすることも大切です。例えば、白米やパンのような精製された糖質を摂取する場合は、卵・肉・魚・豆類といったタンパク質、野菜や海藻類などの食物繊維と一緒に食べることで、血糖値の急変動を防ぐことができます。
炭水化物と糖質
炭水化物は、糖質と食物繊維の2つが合わさった栄養素 です。糖質と食物繊維は、どちらも「糖」の構造を持っていますが、体内での消化のされ方が異なります。糖質は、消化酵素によって分解されることでエネルギーとして利用されるものであり、食物繊維は消化酵素では分解されず、大腸で善玉菌のエサとなるものです。これらは、結合の仕方によって「糖質」と「食物繊維」に分類されるため、炭水化物とは「糖質+食物繊維」という意味を持つ栄養素と考えることができます。
さらに、糖質の中には「多糖類」「糖類」 という分類があります。糖質のうち、単糖が10個以上結合したものが「多糖類」 であり、これにはデンプンやデキストリンが含まれます。特に、デキストリンは低血糖の予防のために摂取されることが多く、スポーツドリンクやゼリー飲料に含まれていることが特徴 です。運動時のエネルギー補給としても利用しやすく、すぐにエネルギーとして吸収されるため、激しい運動中や運動後の低血糖予防に適しています。
一方、「糖類」として分類されるものには、ブドウ糖や果糖のような単糖、またはショ糖(砂糖)や乳糖(牛乳に含まれる糖)のような二糖類 があります。砂糖は嗜好品として広く利用されており、体内で素早くエネルギーとして利用されるため、即効性のあるエネルギー補給として役立ちますが、摂りすぎると血糖値の急激な変動を引き起こすため、適量を守ることが重要です。
炭水化物は、私たちの身体にとって重要なエネルギー源であり、低血糖の予防、疲労の軽減、日常生活や運動のパフォーマンス向上に大きく貢献 します。特に日本人の主食である「お米」は、エネルギー補給の代表的な食品ですが、一般的に食べられている白米は、主成分がデンプンであり、糖質に偏った栄養バランスになっています。デンプンは消化吸収が早く、すぐにエネルギーとして利用されるため、甘みがあり美味しいのが特徴ですが、白米だけではビタミンやミネラルが不足しやすい点がデメリットです。
そこで、栄養バランスを整え、より健康的な食事にするためにおすすめなのが 「玄米」や「雑穀」の活用 です。
玄米は、精米される前の状態のお米であり、米ぬかや胚芽が残っているため、栄養価が高いのが特徴です。白米と比べると、以下のような栄養素が豊富に含まれています。
- 食物繊維:血糖値の上昇を抑え、腸内環境を整える
- タンパク質:筋肉の維持や代謝をサポートする
- マグネシウム:神経や筋肉の働きを助け、エネルギー産生をサポート
- ビタミンB1・B6:糖質をエネルギーに変換し、疲労回復を促進
特に ビタミンB1は、糖質の代謝に不可欠な栄養素であり、玄米100gで1日に必要なビタミンB1の約3分の1を摂取できるため、毎食玄米を食べることで、1日分のビタミンB1を十分に確保することができます。さらに、玄米に含まれる食物繊維は、血糖値の急上昇を防ぎ、エネルギーを持続的に供給するため、低血糖の予防にも効果的です。そのため、運動をする人や、仕事や家事でエネルギー消費が多い人にとって、玄米は血糖値のコントロールを助け、安定したパフォーマンスを維持するための優れた食材 となります。
しかし、玄米は 白米に比べて食感が固く、独特の風味があるため、食べにくいと感じる人もいます。その場合は、玄米の外皮を半分取り除いた「五分づき米」を選ぶと、白米に近い食感になり、玄米の栄養もある程度残せるため、取り入れやすくなります。
玄米以外にも、栄養価の高い雑穀を取り入れることで、さらに健康効果を高めることができます。例えば、以下のような雑穀があります。
- キヌア・アマランサス:マグネシウム、鉄、亜鉛が豊富で、高タンパクなスーパーフード
- もち麦:白米に近い食感で食べやすく、水溶性食物繊維が豊富で腸内環境を整える
- 雑穀米(ブレンド):食物繊維やミネラルをバランスよく摂取できる
これらの雑穀を適度に食事に取り入れることで、炭水化物だけでなくビタミンやミネラルをバランスよく補給でき、より健康的な食生活を送ることができます。
雑穀は栄養価が高く健康に良いですが、一方で食物繊維が多いため、消化に時間がかかることがあります。そのため、お腹が弱い人は、最初は少量から取り入れ、体調を見ながら調整するとをおすすめします。また、炭水化物の摂取目的で雑穀を活用する場合は白米や五分づき米と適度に混ぜることで、消化の負担を減らしながら、栄養をしっかり摂ることができます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
低血糖が起こる原因はさまざまです。
睡眠時間の確保、食事の摂り方など、できることから改善してみましょう。
TRANSCENDでは、一人ひとりの状況に合わせて適したメニューを組んでいます。
通う頻度についても月2回、月4回、月8回の3つのプランから選択できるので、お気軽にご相談ください。