血糖値ってなに?高血糖の原因と症状について
健康診断で、血糖値が高いと指摘をされてしまった方もいるのではないでしょうか。
そもそも血糖値とはなんなのか?
血糖値はどうして高くなるのか?
対策方法はあるのか?
この記事ではこのような疑問について詳しく解説していきます。
是非最後までご覧ください。
血糖値とは?
血糖値とは、血液中に含まれるグルコース(ブドウ糖)の濃度を示す指標で、身体のエネルギー供給や健康状態を管理する上で非常に重要な役割を果たしています。グルコースは、主に食事で摂取した炭水化物が体内で分解されて生成され、私たちの活動に必要なエネルギー源として使用されます。食事後には血液中のグルコース濃度が上昇し、膵臓から分泌されるインスリンというホルモンがこのグルコースを細胞に取り込む働きをサポートします。インスリンによって、細胞がグルコースをエネルギーとして利用しやすくなるため、血糖値が低下していくのです。
エネルギーとして使われなかった余分なグルコースは、インスリンの働きによってグリコーゲンや脂肪に変換され、肝臓や筋肉、さらには皮下組織などに貯蔵されます。これによって身体は、必要に応じてエネルギーを補充できるようになり、血糖値の急激な変動が抑えられます。
血糖値が高いとどのような影響があるのか?
血糖値が高い、つまり高血糖の状態は、血液中にグルコースが多く含まれていることを示します。通常、食事を摂ると炭水化物が消化されてブドウ糖に分解され、それが血流に入り、インスリンの働きで細胞に吸収されますが、インスリンが適切に働かない場合や分泌が不足する場合、血糖値が異常に高くなることがあります。
高血糖が長時間続くと、血液が粘り気を帯び、血液がスムーズに流れなくなります。結果として、血管が詰まりやすくなり、血栓(血のかたまり)ができやすくなります。このため、糖尿病や心筋梗塞、さらには肝硬変や腎障害といった重大な健康リスクが増大します。また、高血糖状態が続くと、血管や神経にダメージを与えることもあり、目の網膜にある血管が障害を受けると視力が低下し、神経障害によって手足のしびれや痛みが生じることがあります。
これらのことから血糖値を適切に管理することは、健康を長く保ち、生活の質を高めるために非常に重要です。
さらに、血糖値の急激な変動は体調や気分に悪影響を及ぼすことがあります。例えば、急激な血糖値の上昇や低下は、エネルギーレベルの不安定さや集中力の低下、イライラや疲労感を引き起こすことがあります。血糖値を安定させることで、身体と心のバランスが保たれ、集中力の向上や疲れにくさが得られるため、日常生活の質も改善されるでしょう。
血糖値が高くなる原因
⒈バランスの悪い食生活
糖質が多い食品、特に白米やパン、砂糖が含まれる食べ物、飲み物は、消化吸収が早いため血糖値を急激に上昇させる傾向があります。こうした急激な血糖値の上昇は膵臓にインスリン分泌を促し、血糖値を下げようとするために、体内で大量のインスリンが分泌されます。しかし、こうした高糖質な食事が長期的に続くと、体内でのインスリンの働きが鈍くなり、インスリン抵抗性と呼ばれる状態が引き起こされることがあります。インスリン抵抗性が生じると、インスリンの効果が低下し、血糖値が高くなりやすくなります。
また、間食や夜食が多いと、食事のタイミングに関わらず膵臓がインスリンを分泌し続ける状態が続くため、血糖値の安定した調整が難しくなります。特に夜食は、体の消化機能が低下する夜間に摂取されることから、消化吸収のスピードが遅くなり、血糖値に影響を与えやすくなります。夜間の食事は内臓への負担も増加させるため、血糖値の調整がさらに難しくなり、長期的には血糖値の慢性的な上昇につながる可能性があるため、夜食を控えることが推奨されます。
⒉運動不足
運動は血糖値を管理する上で非常に有効で、身体を動かすことにより筋肉がエネルギーを消費するため、血液中のグルコースが効率的に使用され、血糖値が下がりやすくなります。特に筋力トレーニングなどの活動は、筋肉が糖をエネルギーとして消費するのを促進し、血糖値の急激な上昇を抑える効果があります。
さらに、運動にはインスリン感受性を高める作用もあります。インスリン感受性が高まると、血糖を細胞内に取り込む効率が良くなり、血糖値が安定しやすくなります。反対に、運動不足の状態が続くと、筋肉がエネルギーとしてグルコースを使用する機会が減少し、血糖値が上がりやすい状態になります。また、前述したようにインスリンが効きにくくなる「インスリン抵抗性」が生じやすくなり、体内の血糖値を正常範囲に保つのが難しくなります。インスリン抵抗性が高まると、膵臓がより多くのインスリンを分泌しようとしますが、これが長期的に続くと、膵臓に負担がかかり、糖尿病やその合併症のリスクも増大します。
⒊ストレス、睡眠不足
睡眠不足やストレスは、ホルモンバランスを崩し、血糖値のコントロールを難しくすることが知られています。特にストレスがかかると、身体は「コルチゾール」と呼ばれるストレスホルモンを分泌します。コルチゾールは、身体が危機的な状況に対応するためのエネルギーを確保しようとする役割があり、血糖値を上昇させる効果を持ちます。コルチゾールの分泌が長期間続くと、血糖値が高い状態が慢性化し、身体の各臓器や組織に負担をかける可能性が高まります。
さらに、睡眠不足も血糖値の上昇に関わる大きな要因です。睡眠不足になると、身体はエネルギー不足を補おうとし、血糖値を高めるようなホルモンが分泌されやすくなります。また、睡眠が不足すると身体のインスリン感受性が低下することが研究でも示されています。このため、質の高い睡眠を確保することは、インスリンが効率よく働くためにも重要であり、血糖値を安定させるためには必要不可欠です。
⒋喫煙、飲酒
喫煙は、血糖値に悪影響を及ぼすことが知られています。タバコを吸うと、血液中に含まれるニコチンが血管を収縮させるため、血流が悪くなり、血液循環がスムーズに行われなくなります。この血管の収縮は、体内の糖分が細胞に届きにくくなる原因となり、糖の代謝が滞りがちになるため、血糖値が上昇しやすくなります。また、喫煙による活性酸素の増加や炎症も、インスリンの働きを低下させ、血糖値の管理を難しくする原因となります。そのため、血糖値の健康を保つためには、できるだけ喫煙を控えることが望ましいです。
飲酒についても、適度であれば血糖値に大きな問題はありませんが、過度の飲酒は健康に悪影響を与えます。アルコールを大量に摂取すると、肝臓の機能が低下しやすくなります。肝臓は血糖値を安定させる重要な働きを持っており、体内で糖をグリコーゲンとして貯蔵したり、必要に応じて血中にグルコースを放出したりする役割を担っています。しかし、過剰な飲酒によって肝臓が疲労し、正常に働かなくなると、血糖値の調整が困難になります。
さらに、アルコールそのものはカロリーが高く、特にビールやカクテルのような糖質が多いお酒を摂取すると、血糖値が急激に上昇するリスクがあります。また、内臓脂肪の増加もインスリン抵抗性を高め、血糖値が上がりやすくなる要因となります。飲酒の習慣がある人は、内臓脂肪が蓄積されやすいため、インスリン抵抗性の悪化や血糖値の上昇に注意が必要です。
血糖値が高くなるとどんな症状が出る?
血糖値が高くなると、体内ではさまざまな変化が起こり、いくつもの症状が現れます。まず、身体は血液中の余分な糖分を排出しようとするため、腎臓が活発に働き、尿中に糖を排出するプロセスが進みます。この過程で大量の水分が同時に失われるため、体は脱水状態になり、喉の渇きを強く感じるようになります。喉の渇きを感じた結果、水分を頻繁に摂取するようになりますが、それでも脱水状態は解消されにくく、多飲多尿の状態が続くことがあります。特に夜間には何度もトイレに起きる必要があり、これが睡眠の質を悪化させ、疲労感や日中の倦怠感を引き起こす要因となります。
加えて、高血糖状態ではインスリンの作用が十分に発揮されず、身体の細胞が血液中の糖分を効率よく利用できなくなります。このため、エネルギー不足が生じ、慢性的な倦怠感を感じやすくなります。糖分は血中に多くあるにもかかわらず、細胞には十分なエネルギーが届かないため、身体は代わりに脂肪や筋肉を分解してエネルギーを得ようとします。これにより、食事量が変わらないにもかかわらず体重が減少し、筋力が低下するだけでなく、体力全体の低下が進行します。このような体重減少は身体がエネルギー不足に対応するための一時的な対策ですが、長期間続くと体力や免疫力の低下につながり、風邪をひきやすくなったり、病気に対する抵抗力が落ちたりするリスクが高まります。
さらに、高血糖状態は脳にも影響を及ぼすことがあり、脳へのエネルギー供給が滞ることで集中力が低下することがあります。脳は主にグルコースをエネルギー源としますが、インスリン抵抗性によってグルコースが脳細胞に取り込まれにくくなると、注意力が散漫になり、思考が鈍くなることがあります。このため、日常生活や仕事において判断力が低下し、ミスが増えるなどの支障が出ることもあります。また、倦怠感や疲労感が続くことによって、気分の不安定さやイライラ感が増し、これがさらに集中力の低下を招く悪循環に陥ることがあります。
また、視力にも一時的な影響が現れることがあり、血糖値の急激な上昇が目の水晶体に影響を与え、視界がぼやけることがあります。水晶体に糖分や水分が過剰に取り込まれることで、形状が変化し、視力が一時的に低下するのです。通常、血糖値が正常に戻るとこの視力の問題も改善されますが、慢性的に高血糖が続く場合、白内障や糖尿病性網膜症といった深刻な眼の病気のリスクが高まることが知られています。
さらに、皮膚にも影響が及びます。高血糖は血行不良を引き起こしやすく、皮膚への血流が悪化するため、乾燥や痒みが生じやすくなります。特に手足など、末端の皮膚は血行不良の影響を受けやすく、乾燥が進むことでかさつきやひび割れが起こりやすくなります。多尿による水分の喪失も、皮膚の乾燥を悪化させる要因となります。また、高血糖は免疫機能を低下させるため、皮膚が感染症にかかりやすくなり、傷が治りにくくなることもあります。
このように、高血糖は全身にさまざまな影響を及ぼし、日常生活の質を低下させるだけでなく、長期的には体力や健康に大きなリスクをもたらす可能性があります。そのため、血糖値の管理を適切に行い、身体の各機能に対する影響を最小限に抑えることが重要です。
高血糖にならないための対策
⒈正しい食事
まずバランスの良い食事を心がけることが重要です。糖質、タンパク質、脂質、ビタミン・ミネラルなどの栄養素をバランスよく取り入れることで、血糖値が安定します。具体的には、糖質は精製されたものではなく、全粒穀物、野菜、果物から摂取するのが理想的です。全粒穀物や野菜には食物繊維も多く含まれており、消化が緩やかであるため、血糖値の急激な上昇を防ぎます。また、タンパク質は魚、鶏肉、大豆製品などの高タンパク低脂質の食品から摂ると、身体に必要な栄養を補給しながら、血糖値のコントロールに役立ちます。脂質についても、ナッツや魚などの不飽和脂肪酸が豊富な食品を選ぶと、血液の循環が良くなり、心血管の健康にも寄与します。さらに、ビタミンやミネラルは、さまざまな野菜や果物を摂取することで補うことができ、これにより身体全体の機能が正常に保たれやすくなります。
次に、食べる順番も血糖値のコントロールにおいて大切な要素です。最初に野菜から食べ始めると、野菜に含まれる食物繊維が消化をゆっくりと進めるため、血糖値の上昇を緩やかにします。次にタンパク質を摂取すると、これも消化に時間がかかり、食後の血糖値が急激に上がるのを防ぎます。そして、最後に炭水化物を食べることで、炭水化物が体内にゆっくりと吸収され、血糖値の変動が少なくなります。このように、食事の順番に配慮することで、血糖値の上昇を抑えつつ、消化も円滑に進めることができます。
さらに、よく噛んで食べることも血糖値の安定に寄与します。よく噛むことで、消化酵素の分泌が促進され、消化がスムーズになり、満腹感を早く感じやすくなります。これにより、過食を防ぐことができ、結果として血糖値が急激に上がることを避けられます。食べるスピードをゆっくりにするだけでも、消化器官にかかる負担が軽減され、血糖値のコントロールがしやすくなります。
甘い飲み物、特にジュース類は控えることが推奨されます。ジュースには大量の糖分が含まれており、特に果汁ジュースには果糖が多く含まれているため、血糖値に大きな影響を与えやすいです。液体の糖分は固体の糖分と異なり、身体がカロリーとして認識しにくいため、無意識に摂取量が増えてしまうことが多いです。そのため、ジュースを飲む代わりに水や無糖の飲み物を選ぶことで、血糖値を安定させることができます。
また、低GI(グリセミックインデックス)食品を積極的に選ぶことも効果的です。低GI食品は、体内でゆっくりと吸収されるため、血糖値がゆっくりと上昇し、急激な変動を防ぐことができます。具体的には、全粒粉パンや玄米といった全粒穀物、レンズ豆やひよこ豆などの豆類、さらにほうれん草やブロッコリーといった低GIの野菜を選ぶと良いでしょう。
減塩もまた、血糖値の安定化に貢献します。高血糖と高血圧は心血管疾患のリスクを高める要因となり得ますが、塩分摂取を控えることで血圧の管理がしやすくなり、結果的に血糖値のコントロールにもつながります。特に加工食品には塩分が多く含まれているため、できるだけ避けるか、塩分が控えめな製品を選ぶようにすると良いでしょう。
⒉適度な運動
まず、有酸素運動として、ウォーキング、ジョギング、サイクリングなどが挙げられます。これらの運動は、酸素を使ってエネルギーを消費するため、脂肪を燃焼し、インスリン感受性を高める働きがあります。血糖値の管理を意識するのであれば、1日30分程度の有酸素運動を週に2〜3回取り入れると効果的です。特にウォーキングは、激しい運動が難しい場合にも取り組みやすく、無理なく続けられる方法です。
また、筋力トレーニングも血糖値のコントロールに役立ちます。筋トレを行うことで筋肉量が増え、体内で糖を効率的に取り込む能力が高まるため、血糖値の管理がしやすくなります。筋肉はエネルギーを消費する大きな器官であるため、筋肉量が増えることで基礎代謝が上がり、身体が糖をエネルギーとして利用しやすくなります。筋トレは週に2回程度行うのが効果的であり、筋肉の回復時間を考慮しながら無理なく継続できる頻度で取り組むことが推奨されます。
さらに、日常生活の中でも活動量を増やすことが大切です。運動として特別な時間を設けることが難しい場合でも、日々の生活の中で身体を動かす意識を持つことで、血糖値のコントロールに貢献することができます。例えば、エレベーターやエスカレーターを使わずに階段を利用する、近場のスーパーや駅には歩いて向かう、通勤時に少し遠回りをして歩く距離を増やすなどの工夫が考えられます。こうした日常の活動は、小さな積み重ねでありながら、長期的には健康に大きな影響を与えることがあります。
⒊定期的な健康診断、禁煙、適度な飲酒
定期的な健康診断を受けることが非常に大切です。健康診断では、空腹時血糖値やHbA1cといった指標を測定することで、血糖値の変動や状態を詳しく把握することができます。空腹時血糖値は、その名の通り、空腹時の血糖濃度を示し、血糖コントロールの状態を知るための重要な指標です。また、HbA1cは過去1〜2か月の平均的な血糖値を反映するため、日常生活の影響が血糖値にどのように表れているかを確認できます。このように、複数の指標を定期的にチェックすることで、早期に高血糖の兆候を見つけ、予防的な対策を講じることが可能になります。
さらに、血糖値の管理に関わる他の健康指標も重要です。例えば、血圧やコレステロール値、体重の測定も合わせて行うことで、血糖値を含む総合的な健康状態が把握できます。高血糖は血圧やコレステロール値の異常とも関係しており、これらの値が上がると心血管系のリスクが高まる可能性があります。体重の管理も同様に重要で、こうした健康指標を把握することで、糖尿病やその他の生活習慣病のリスクを早期に見極め、適切な生活改善や治療につなげることができます。
加えて、高血糖を防ぐためには禁煙と禁酒も重要な対策です。
禁煙することで血管の健康が改善され、インスリンがスムーズに働くようになり、血糖値の安定につながる効果が期待されます。
適度な飲酒を心がけることで、肝臓への負担を軽減し、血糖値の急激な変動を防ぎます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
日常生活でのちょっとした意識や習慣が、血糖値の安定、健康維持に繋がります。
まずはお食事の改善と運動習慣を心がけてみてください。
TRANSCENDでは、一人ひとりの状況に合わせて適したメニューを組んでいます。
通う頻度についても月2回、月4回、月8回の3つのプランから選択できるので、お気軽にご相談ください。